この動画と文章は、生徒さん向けのレッスン内容確認とKindle本の補足です。
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アッポッジョと声の闘争は空気の圧縮による気圧の維持が重要です。呼気(吐く息)の圧力が声の響きや輝きの度合いを決めます。息の量よりも息がもたらす圧力が声の質につながります。
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声道と肺です。肺は空気を取り込むこと以上に圧力を維持するためにその機能を働かせる必要があります。肺自体は動けないため肋間筋・胸郭・横隔膜・腹横筋・腹斜筋及び背中の筋肉の連携が重要です。声帯で音を作ります。この音に対する気圧の強さが声の輝きを決めます。声帯の音は声道全体で声として調整されます。この声道も気圧の維持が重要です。声道が開き過ぎると気圧がすぐに逃げてしまい、響きの散った声になります。響きの散った声は近くで聴くと派手に聴こえます。いわゆる「そば鳴り(近鳴り)」の声です。そば鳴りの声は成長しません。すぐにレベルの上限に達してしまい、そこで上達はストップします。
2 声道(喉頭、咽頭、口腔)の簡略化した断面図です。普通の発声時よりも狭くすることが大切です。広いままだと声の響きにまとまりが無い太くぼやけた声になります。自転車のタイヤに空気を入れるときに、空気の差し込み口が太いと気圧が弱まりタイヤを膨らませることが出来なくなります。最適な狭さが最適な気圧になります。
3 普通の発声時は、肺も声道も自然な状態です。最適な支えによる声を出すときは、声門から下の肺の圧力を維持し、肺の圧力を維持するために声道全体も適切に狭くする必要があります。風船の出口を狭くして、ゆっくり少しずつ空気を出す感覚が発声時に必要となります。
《例》
・竹筒の水鉄砲…水鉄砲で遠くに水を届けるためには筒内の圧力を高める必要があります。水を押し出す力と小さい穴による水をとどめる力が大切になります。水自体が圧力を生み、その圧力で遠くに飛ぶことになります。水鉄砲や発声は動画の②のような狭さが圧力を生みます。
・ところてん押し器…ところてんを押し出す容器も水鉄砲と同じです。出口の狭さが圧力を高めます。
・タピオカ用ストロー…タピオカ用のストローで水を飲もうとすると普段よりも体力を使います。普通のストローは楽に水を吸い上げられる最適な細さで作られており、タピオカを通過させるために作られて太いストローでは圧力が弱くなります。そのため太いタピオカ用ストローで水を吸うときは、普段よりも吸気筋を強めに使う必要があります。
(ポイント1)
最適な支えによる発声は我慢がもたらします。一方的な感情の発露ではなく、感情の”我慢”や”葛藤”の発露と言えます。我慢する際の息の止めが、声門の下の圧力を高めて声のための呼気圧をバランス良く強化させます。声を前に出すことを優先し過ぎると、力をため込むことが出来ないため、息の漏れた声や声の芯が流れた声になります。
(ポイント2)
歌手のフォルマント(シンガーズフォルマント singer's formant または歌声フォルマント)を発生させる上でも声道の狭さは重要です。喉頭のノイズを細かく均一に作る必要があります。エやイの母音で口腔の前側を圧縮して練習すると良いです。
(参考文献)
https://www.amazon.co.jp/Shinji-Nakayama/e/B0718V3SFQ/ref=zg_bs_2293031051_bl_16?_encoding=UTF8&refRID=3RK9Y2WHP014PKDGBZ22
(参考動画)
https://youtu.be/8IbQnwkh7uM