支えのある声を出すための呼吸の基礎(noteまとめ)

《呼吸の基礎、ネガティブ精神の利用、発声時の心の変化、最少呼気発声、圧力とブレス…など》
  • (ブレス)息はたくさん吸うとその分だけ余計なエネルギーになる。息の量より息の圧力が大切なので、発声中の残りの息は常に瀬戸際に感じると良い。余裕のある息はおそらく無駄な力みの原因につながると思う。息の余裕は声の余裕にならない。声について考えるとき、息の量はかなりケチになった方が良い。
  • (失敗について)一曲を通して歌う練習は避けた方が良い。一曲の中で一カ所でも失敗すると、その部分で失敗する癖がつく。この癖は無自覚であり、この癖の積み重ねで声の上達は止まる。一曲の中を抜粋して少しずつ練習した方が良い。”失敗を乗り越えて成長する”という発想は声においては嘘といえる。失敗すれば「出来ない」と無自覚の内に判断してしまう。出来るだけ失敗経験を避けて練習することが近道。失敗しそうなときはチャレンジしない方がいい。日本的な気合や根性でどうにかなるなら、とっくにどうにかなってるはず。精神論の多くは失敗につながっている。
  • (支えと強弱)支えのあるppで声を出す場合は、息の流れを糸のように感じると良い。ffの場合は太い糸。基本的に支えは細く鋭い声道で成立させる必要がある。口腔や咽頭は狭さから調節し、適切な広さを見つけることが大切。最初から広くして準備することは間違い。
  • (息の吐かなさ加減)歌うときに息を吸い過ぎると様々な筋肉が硬くなり不自然な呼吸になる。息を吸うときは目の前の空気をつかみ取る程度で良い。呼吸法で大切なことは息を吸うことではない。息を吐かないことが大切。息の”吐かなさ加減”が声の闘争のテクニックといえる。アッポッジョも同様。
  • (息の止め)息を吸ってすぐに声を出すことは間違い。息を吸った直後に一瞬の息の”止め”が必要。流れるような連続性は結果的な現象。一瞬一瞬の息の止めを細かくすることでレガートになる。本当のレガートは”流れ”ではなく”止め”の技術。”動と静”なら静をいつも意識すると良い。

 

  • 開くとかオープンにするとか開放するみたいな言葉を多くの人は好むけど、発声は閉じ込めることが大切だと思う。閉じ込める加減が発声のテクニックであり、開けっ放しは良くない。開けることより閉じることを基礎と思った方が良い。でも、日本の音楽教育は”心を開く”みたいな、開く精神を重視する。
  • 発声のテクニックはネガティブな感情の応用だと思う。しかし日本の音楽教育は、ほぼ道徳教育でありネガティブな精神を嫌う。ポジティブな精神で優れた音楽を生むつもりだが、これは間違い。発声に関するテクニックは、ネガティブな精神が鍛えると思う。ポジティブなら歌で訴える必要は無いから。
  • 苦しいとか辛いという感情を我慢しながら発声練習をすると良いです。楽しいとか喜ばしいみたいな感情で発声練習をすると声が散らばって支えがなくなります。
  • ”人間には心が無い”という感覚で発声練習をすると良いです。心という不確かなものが声を乱しています。発声は物理的な現象です。心理的な要素は都合の良い後付けです。
  • 高い声の練習をするときは、高い声が出そうなときだけやった方が良い。高い声を出そうとして失敗すると、自分には高い声は出せないんだと思い込んでしまい本当に出なくなる。つまり勝てそうな勝負のみ勝負し、負けそうな場合はチャレンジそのものをしない方が良い。
  • 発声練習時の失敗は”出来ない”という思い込みにつながっている。そのため長い時間練習をすると後半で疲れてしまい失敗を重ねてしまう。その結果思い込みによって下手になる。余力のある内に練習は切り上げた方が良い。
  • 発声において失敗は成功のもとになりません。失敗は成功よりも強く記憶に残ります。高い声を出そうとして失敗すれば”出ない”という思い込みが記憶に残ります。出そうなときに高い声の練習をして、成功体験を重ねることが大切です。
  • 一日に2時間練習するくらいなら一週間毎日20分練習した方が良い。長く苦しい練習は”練習した感”で満足する程度。基本的に毎日少しでいいのでコツコツ練習した方が上達する。長時間練習は趣味みたいなもの。短時間練習に真剣さが出る。
  • 一つ一つの音を優しく包み込むように発声練習をすると支えの無いぼんやりした声になります。音を握りつぶして圧死させる勢いで練習すると良いです。道徳的な情感はいつも間違った発声指導になります。しかし、日本人は人情でこれを正しいと認識します。発声練習で大切なことは少し悪に染まることです。
  • 合唱は心をひとつにしない方がいい。心をひとつにしようとするから全員が実力を出せない。心の存在は不確かであり、不確かなものはひとつにもなれない。心と思っているものも脳内情報の変化の一種なので、声は心より筋肉で制御した方がまだ良い。心より筋肉の方が信頼できる。
参考ブログ (note2016~2017)